306球直前2

 投げ込んだ。無心で、ただ無心で…。  頭の中で考えた通りに動いた。  頭の中で見えた通りに動いた。  体は勝手に反応した。なぜだかわからない。  それが自分の能力なのか。いや、そんなはずはない。  でも不思議だ。思った通りに結果が出る。  これはいったい…。自問自答。  答えは出た。出たと思う。  できると思う…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第306球直前

次の展開はまだ決まっていなかった。ただ未知の世界へ飛び込むだけ。 答えは決まっている。だけど、それが何かはわからない。 魔法をかけた。魔法と思った。そう信じた。 できるはず。できないわけがない。まだ始まっていない。 頭の中で考えた。精一杯、想像した。物事をインプットした。 できた。浮かんできた。これでいける。いけるは…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第305球

 「あの出会いがなかったら、今頃…」。アンドロメダ調査員の架嶺雄大は、また、そんなふうに考えていた。過去を振り返るたびに、そう思ってしまう。そして、また、いつものように「人生ってわからないものだよな」とつぶやいてしまう。「もう、これって、俺のクセだな。笑っちゃうな」。口元がまたまた緩んだ。  あれは札幌の某高校でのこと…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第304球

 アンドロメダ調査員の架嶺雄大は思い出し笑いもしていた。「気がついたら、アンドロメダに入っていたからなぁ…」なんて考えながら…。「俺の原点である札幌が新たな出会いに導いてくれたんだよなぁ…」。昨日のことのように思い出された。1日、1日、変化していた自分の気持ちにさえ気づかずに通り過ぎた日々が…。  札幌は架嶺の故郷だ。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第303球

 東京都内のホテルでアンドロメダ調査員の架嶺雄大は、自然といろんなことを思い出していた。自分が担当した選手が愛知ソニックからドラフト指名された喜びをかみしめながら…。アンドロメダリーダーの大田原健太郎も同じだったのではないか。あの日がなければ、今はない。そして「彼」がいなければ今はない…。  当時、首都タイムズのカメラマン…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第302球

 「彼」は生活のために必死だった。それが今のすべてだった。1回成功したら、その評判は口こみで広がった。「最高レベル」はなかなか難しかったが、その日の食事は何とか確保していた。アンドロメダ北海道地区担当調査員の架嶺雄大が初めて会った時は、ちょうど2週間が経過したところだったという。  架嶺は元首都タイムズのカメラマンだ。同紙…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第301球

 歴史が動いた…。東京都内のホテルでアンドロメダリーダーの大田原健太郎はメンバーひとり、ひとりと握手をかわした。ついにプロ選手が誕生した。それも、一度に2人…。北海道地区担当調査員の架嶺雄大が少々、驚きの表情の九州地区担当調査員の神威小次郎の肩を叩いた。「やったな」と…。  ドラフト会議でアンドロメダメンバーを指名した…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

タイム!!!

 タイム!!!  いつも、ありがとうございます。多くの方々に励まされて、アンドロメダは何とか300球に到達しました。「開幕」から、ここまでで、ようやく一区切りといったところです。  長かった「アンドロメダ的夏」に比べれば、「アンドロメダ的秋」はちょっと早すぎたかな、とは思いますが、とりあえず、駆け抜けてし…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第300球

 アンドロメダ的秋…。東京都内のホテル別室でアンドロメダリーダーの大田原健太郎らメンバーが勢揃いして、会議の結果を待っていた。とりわけ北海道地区担当調査員の架嶺雄大は落ち着かなかった。「架嶺さん、コーヒー、どうぞ」。九州地区担当調査員の神威小次郎も気を使った。運命のドラフトだった…。  時が流れた。  別室に…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第299球

 三塁側スタンド、ベンチ上付近でアンドロメダリーダーの大田原健太郎は目を丸くしていた。「こんな選手がいるなんて…」。これまでも埋もれた人材探しに奔走していたつもりだったが、彼に関してはこれほどのデータはなかった。「手助けしたい」。即座に思った。  敵も味方もスタンドの誰もが仰天していた。正直、打った本人も驚いていた。ダイヤ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第298球

 アンドロメダ北海道地区調査員の架嶺雄大はバッグからカメラを取り出した。望遠レンズで北斗星大4年の日向太良を追った。「架嶺さん、しっかりおさえておいてくださいね」とサブリーダーの鬼車寅吉が笑みを浮かべながら、声をかけた。「わかりました。まかせておいてください。でも、さん付けはやめてくださいよ」と架嶺も微笑んだ。  日向は6…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第297球

 スタンドにいたソニックの火牙スカウトがピクッとなった。自然となった。それから後ろを振り返った。最上段にいるアンドロメダの面々たちの姿を見た。「もしかして、彼らはこれを…」と思っていた。彼らが好きそうな選手と思ったからだ。「プロなら今のでピンと来るよなぁ」と再び、マウンドに目を向けた。  リーダーの大田原健太郎らアンドロメ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第296球

 北斗星大の学生たちが3人、スタンドで慌しく動いていた。新たにビデオカメラがセッティングされていた。「先輩に頼まれたのか」「いや、監督がとっておいてって。後で先輩にプレゼントするらしい。記念にね」。そんな話をしていた彼らが「おいおい先輩って左ききじゃなかったっけ」とざわつき始めた…。  海流清大戦に6回から登板したのは北斗…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第295球

 「あれっ、神威はどうした?」。アンドロメダサブリーダーの鬼車寅吉が問いかけた。「ちょっと野暮用ができたそうです。あとで追いかけるからって言っていました」「さっきの女性だろう。あいつ、何か顔色が変わっていたから」「それはちょっとわかりませんが…」。そんな会話を聞きながら、リーダーの大田原健太郎は微笑んだ。  東京都内の…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第294球

 報道陣がざわついた。「それは引退ということですか」。代表質問者も戸惑っていた。「引退とまでいえる身分ではないと思いますが、まぁ、そういうことにもなるのでしょうか。まぁ、活動休止みたいなものと受け取っていただければ…」。精一杯の標準語で答えた。プロサイドにも衝撃を与えた。  長崎・桜福坂高校で行われた速水拳の緊急記者会見だ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第293球

 「そんなバカな…」。某スポーツ紙を見て、アンドロメダ九州地区調査員の神威小次郎は思わず声を上げていた。「そがんことが、あるわけなか」。そうぶつぶつつぶやきながら、電話した。向こうは笑っていた。ケータイ越しだからわからないが、たぶん苦笑いを浮かべていたと思う。「気づかれないものですね」とも話していた。  アンドロメダ的9月…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第292球

 これまではなかなかできなかった。それを吹っ切った。思い切り、自らを加速させた。後ろは振り返らず、とにかく前を見た。前だけを見た。信じた。自分を信じた。いつか必ず好結果が生まれる。いつか必ず、自分が納得できる成功がついてくる、と…。きれいごとでいい。情熱がそうさせていた。  マンモス大会期間中に東東京代表・真極学園の4…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第291球

 夏の終わり、神奈川マジックの高杉明太郎は驚きの声をあげた。「なぜ、どうして」。そう言いたかった。でも、あまりに真剣な表情にそう言えなかったという。半分、頼もしく見えたからだという。「いつのまにやら…」と思った。そして最後には「その代わり、後悔するな。前を向いてやれ!」とハッパをかけた。  マンモス大会終了後のアンドロメダ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

第290球

 東東京・真極学園の大伴監督は「もう、これ以上言っても無理なんだろう」とあきらめた。それほど、彼、いや彼らの決意はかたかった。「また、秘密兵器をつくらないとな」。指揮官はつぶやいた。いったい、何が起きたのか。きっかけは、一通の手紙。それが届いてから、事態は急展開していた。  マンモス大会中に真極学園には、こんな打診があった…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more

第289球

 米国遠征に旅立った瑞泉(西東京)GSコンビ「G」剣源氏の表情はたえずさえなかった。「オレだけこんなことをしていていいのだろうか」。そんな気持ちだった。試合内容もさえなかった。第1戦に先発したが、打ち込まれた。バッティング調子ももうひとつ。どうにも集中していなかった。  マンモス大会ベスト8入りした愛知・にしき水惣野球部の…
トラックバック:0
コメント:2

続きを読むread more